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3Dプリンター フィラメントの違いと選び方 — PLA / PETG / TPU / ABS / ASA 完全比較

公開: 2026-04-18更新: 2026-06-05GAJEST 編集部7 分で読めます

目次

3Dプリンター用フィラメントの選び方 完全ガイド

結論を先に言うと、PLA / PETG / TPU / ABS の違いは「置く場所の温度」で決まります。 入門と屋内小物は PLA、水回りや車内など耐熱がいる場所は PETG、柔軟パーツは TPU、高耐熱・機械部品は ABS、屋外・UV 対策は ASA が基本です。

FDM 方式の 3Dプリンターは、機種の性能差より「何を材料にするか」で仕上がりが決まる場面が多くあります。本ガイドでは PLA / PETG / TPU / ABS / ASA / PC / Nylon の主要7種の違いを比較し、初めての1kg を買う人から屋外用途を検討する人までをカバーします。なお、FDM と光造形 (レジン) のどちらを買うかで迷っている方は、先に光造形 vs FDM 比較ガイドを読むと全体像がつかめます。

3Dプリンターのフィラメントスプール

結論 (先に答え)

  • とにかく最初の1kg: PLA。失敗しにくく、臭気も少ない。
  • 水筒や車内で使う (耐熱): PETG か ABS。透明度が欲しければ PETG。
  • 柔軟なパーツ (ケース・靴底): TPU 95A。硬度を下げるほど難易度が上がる。
  • 屋外設置・紫外線に晒す: ASA。ABS の弱点だった UV 劣化を克服。
  • 機械的強度・ねじ止め部品: PC (ポリカ) か Nylon。エンクロージャ必須。

主要材料の特性表

材料 ノズル温度 ベッド温度 エンクロージャ 耐熱 (荷重たわみ) 強度 臭気 反り 向く用途
PLA 190〜220℃ 50〜60℃ 不要 約 55℃ 試作、フィギュア、家の中の小物
PETG 230〜250℃ 70〜90℃ 任意 約 70℃ 水回り、工具ホルダー、透明パーツ
TPU 95A 220〜240℃ 40〜60℃ 不要 約 60℃ しなやか ケース、靴底、振動吸収
ABS 230〜260℃ 90〜110℃ 必須 約 95℃ 車内パーツ、機械部品
ASA 240〜260℃ 95〜110℃ 必須 約 95℃ 屋外設置、UV耐性が必要な物
PC 260〜290℃ 100〜120℃ 必須 約 115℃ 非常に良 構造部品、治具、高温環境
Nylon (PA) 240〜280℃ 70〜100℃ 任意〜必須 約 80℃ 非常に良 ギア、ヒンジ、摺動部

3Dプリンターのノズル拡大

材料別の詳細

PLA (ポリ乳酸)

トウモロコシ由来の生分解性プラスチック。最も扱いやすく、積層痕も目立ちにくい。欠点は耐熱が弱く、真夏の車内 (60℃ 以上) に置くとダレます。屋内観賞物・試作・学校教材はこれ一択。

PETG (ポリエチレンテレフタレート・グリコール)

ペットボトル樹脂の 3D 向け改良版。透明色が美しく、水や食品接触にも比較的強い (ただし食品用途は各メーカーの規格確認が必須)。糸引き (ストリング) が起きやすいのが初心者のつまずきポイント。

TPU (熱可塑性ポリウレタン)

硬度 95A が入門向け。硬度が低い (85A など) ほど柔らかくなりますが、ボーデン式プリンターでは送りが難しく、ダイレクトドライブ機が推奨です。印刷速度は PLA の 1/2 程度に落とすと安定します。

ABS

プラモデルの素材として有名。強度・耐熱は高いが、反りと臭気が強いため、エンクロージャ + 換気環境が事実上必須。揮発成分 (スチレン) に敏感な人はマスク着用を。

ASA

ABS の UV 耐性を強化した兄弟材料。物性はほぼ同じで、屋外に数年置いても色褪せしにくい。Prusa や Bambu が近年ラインナップに加え、ABS を置き換える動きが進んでいます。ASA を安定して扱うには密閉筐体の機種が有利で、Bambu Lab 機種比較ガイドで P1S / X1C の違いを確認できます。

PC (ポリカーボネート)

透明度と耐衝撃性を両立する工業材料。吸湿しやすく、開封後はドライボックス保管がほぼ必須。ノズルは硬化鋼などの耐摩耗タイプが望ましいです。

Nylon (PA6/PA12)

吸湿が激しく、印刷前に乾燥機で数時間乾かさないと気泡だらけに。ギアやヒンジなど摺動部品に向く一方、初心者が手を出すと高確率で失敗する上級材料。

プリントベッド上の造形中の3Dプリンター

用途別おすすめ

家の中の収納・小物

PLA。色のバリエーションが豊富で、失敗コストも低い。壁掛けフック・ケーブルホルダー・収納仕切り。

キッチン・水回り

PETG。熱湯食洗機は避けるとして、常温の水筒ホルダーや歯ブラシ立てなら実用レベル。

車載パーツ

ASA か PC。PLA は夏場の車内で変形します。ダッシュボード付近は特に 80℃ を超えるためご注意を。

屋外の看板・園芸パーツ

ASA。UV 耐性と耐熱で、1〜2年は色褪せがほぼありません。

メカパーツ・治具

Nylon か PC。ねじ山を切ったり、他部品と摺動する箇所に強い。

コスプレ小道具

PLA で形を作り、必要に応じて TPU で関節を作る2材料構成が無難。多色印刷を活かしたい場合は Bambu Lab A1 vs P1S 比較も参考になります。

保管とメンテナンス

  • 開封後のフィラメントはドライボックス (シリカゲル入り密閉容器) に。
  • 吸湿した材料は 50〜70℃ で 4〜8 時間の乾燥で復活する場合あり。
  • ノズルは 0.4mm が標準、TPU や顔料多めのフィラメントは 0.6mm 以上が詰まりにくい。

色とりどりのフィラメントスプール

よくある質問

Q. 食品容器は作れる? A. 材料が食品グレードでも、積層痕の隙間に雑菌が繁殖しやすく、食品直接接触は推奨されません。食品接触面は別素材でコーティングを。

Q. ヤニ臭い印刷はどれ? A. ABS と ASA は揮発成分が多く、1時間の印刷でも部屋にこもります。必ず換気・エンクロージャを。

Q. 強度を求めるならカーボン入りは? A. PAHT-CF や PETG-CF は剛性が向上しますが、硬化鋼ノズル必須で消耗も早い。コストと得たい性能のバランスで選んでください。

Q. PLA と PETG の違いは? どっちを選ぶ? A. 最大の違いは耐熱で、PLA が約 55℃、PETG が約 70℃。屋内の小物・試作・フィギュアなら扱いやすい PLA、水回りや夏場の車内など熱がかかる場所なら PETG が向きます。透明パーツが欲しいときも PETG です。

Q. ABS と ASA の違いは? A. 物性 (強度・耐熱とも約 95℃) はほぼ同じで、違いは UV 耐性です。ASA は ABS の弱点だった紫外線劣化を克服しており、屋外設置や直射日光に晒す用途なら ASA を選びます。どちらも反りと臭気が強く、エンクロージャ + 換気が前提です。

Q. TPU はどの硬度から始めるべき? A. 入門は 95A が無難です。硬度を下げる (85A など) ほど柔らかくなりますが送りが難しくなり、ダイレクトドライブ機が推奨になります。印刷速度は PLA の 1/2 程度に落とすと安定します。

Q. エンクロージャ (密閉筐体) が必須な材料はどれ? A. ABS・ASA・PC は反りと高温が必要なため密閉筐体が必須です。PLA・TPU は不要、PETG は任意、Nylon は条件により任意〜必須です。開放型のプリンターで高温材料を使うと端が反って失敗率が上がります。

まとめ

フィラメント選びは「どこに置くか」から逆算するのが最短です。家の中なら PLA、水回りは PETG、屋外や車内は ASA、機械部品なら Nylon/PC。用途と環境温度さえ確認すれば、大きな失敗はまず起きません。どの材料がどこまで使えるかは機種の対応素材にも左右されるので、開放型と密閉型を比べたBambu A1 mini vs Creality K1C 比較も参考になります。削り出しの方が向いている用途ならデスクトップ CNC 切削機の比較ガイド、刻印や切断ならレーザー刻印機の比較 (XTool vs Glowforge)も合わせてご確認ください。3Dプリンター・工作機の最新セールは3Dプリンター・工作機カテゴリディール一覧でチェックできます。

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